メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

『終わらないゴンドラ』柿沼雅美

  • 応募規定
  • 応募要項


 「やめなよそういう言い方、前は人間が散歩するので当たり前だったじゃん。外歩くってカラダに大事だよ。街ですれ違う人と他愛無い話したりさ。犬と触れ合うのもリラックスできるし」
 「まぁそうだけどさー。もうそんな時代じゃないっていうか」
 「まぁまぁ、祥子は昔のものが好きだし、竜太は機械が得意だし、大学生の頃から変わってないってことじゃん、いいからいいから」
 私がなだめると、祥子は一瞬寂しそうな目をして、そうだね、と言った。
 「機械じゃなくてもうそれが日常なんだって」
言いたいことを全部言わなきゃ気が済まない竜太を恵美子が、わかってるわかってると頷いてあげる。
 ロボットが餃子を運んでテーブルに乗せてくれる。私はサワーを飲み干し、台の上に置く、もう1杯と言うだけでロボットはすぐにもう1杯を持ってきてくれる。
 「それで?竜太結婚するって、何あの急なメッセージ」
 「あ、聞いた?新しいメッセージシステム、すげぇだろ、うちの会社で開発したやつでさ、腕のディスプレイに俺のアバターと声で届いたろ?」
 「そこじゃなくって、まぁそれはすごかったけど」
 すごかったけど、と聞いて、竜太は俺の開発したバージョンアップなんだあれと嬉しそうだ。
 「だから、結婚」
 恵美子が話を戻す。
 「あ、あぁそう、そうそう、俺結婚することにした」
 ロボットと?と言いかけた祥子を恵美子が大げさな、えぇーという声でかき消す。
 「マイっていうんだ」
 「マイ?AIでしょ?」
 AIの名前は、名前の中にAIを入れるのが国の決まりになっている。三上AIとかサキコAIみたいに。
 「MAIだって。名前のあとにAIってつけるなんてあからさまなことするかよ。戸籍登録ではミヤAIらしいんだけど、俺と結婚すれば変えられるから、MyAIっていう意味も込めてMAI」
 あまりに真剣な顔で語るので、私たちは、へぇとしか言えなかった。
 「と、登録があるってことはずっとどこかで暮らして来てる子なんだ?どこで会ったの?」
 よくぞ聞いてくれたとばかりに竜太が嬉しそうな顔をする。
 「仕事で新しいシステム導入するんで研修に行ったわけ、そしたらそこで受付やってたんだよ。この辺にはさ、いろんなAIいるけど、地方だぜ地方、地元の人たちにも愛されててさ、それで、声かけたってわけ」
 「受付嬢ってやつだ」

3/9
前のページ / 次のページ

第2期優秀作品一覧
HOME


■主催 ショートショート実行委員会
■協賛 東急プラザ蒲田
■協力 蒲田西口商店街振興組合
■問合先 メールアドレス info@bookshorts.jp
※お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。


1 2 3 4 5 6 7 8 9
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー