じいさんは自慢げに言い、僕の餃子の最後の一個をラー油まみれにして食べた。
「あーもう、全部食べた」
「大丈夫、今追加がくるから。いくぞ。せーの、ほら」
ほら、のタイミングに合わせたかのように、お待たせしました、と言いながら店員が焼き餃子と水餃子を一人前ずつテーブルの上に置いた。
「すごい」
「でしょ? わしは好きな時に餃子を食べることができる」
じいさんは自慢げだ。
「よくそんなでたらめ言えますね」
「でたらめ?」
「厨房から出てきたタイミングを見ていただけでしょ?」
「きみは水餃子より焼き餃子が好きだね?」
質問に質問で返されて僕は少し焦る。僕は焼き餃子が好きだ。
「ご飯と合うからだね?」
その通りだった。
「はい、焼き餃子をあげよう。わしは水餃子をもらうね」
「あ、ありがとうございます」
「礼には及ばないよ」
じいさんは手を振って水餃子をほふほふ言いながら食べる。とてもおいしそうに食べるので僕もたれを作って焼き餃子を食べ始めた。
「うまいですね」
「うまいな」
「お待たせしましたライス大です」
店員がやってきて僕の前にライス大を置いた。
「え」
「欲しいだろうと思ってね」
たしかにちょうどご飯があったらいいなと思った頃合いであった。僕は焼き餃子とライスを交互に食べる。一人前はあっという間になくなってしまう。
「お待たせしました焼き餃子二人前です」
店員がやってきて僕の前に焼き餃子二人前を置いた。
「え」
「そのくらい食べられるだろう?」
「どうしてもっと食べたいとわかったんですか」
「餃子の神様だから」
「ほんとですか」
「ほんとほんと」水餃子を食べ終えた餃子の神様は言う。「さて、なんでも願い事叶えてあげるよ」
「うそ」
「ほんとだよ」
「お金持ちになりたい」
「そういうのは無理だな」
餃子の神様はきっぱりと言う。
「なにならいいんですか」