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『断然ホッピー』中村克也

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「そしたらさ、向こうから『紙なら安くなるのか?』とか、『強度問題ないのか?』とか聞いてきて。」
え?え?
「『でも、値段たいして変わらないんだったら、別に今のままでいいじゃないですか?発泡スチロールは実績もあるし。』と振ったら、『まぁ、確かに実績はある。ただ、それも完璧ではなくて。例えば、納品先で家電の設置作業すると、発泡スチロールから細かいクズゴミが出て、しかも静電気でくっついて掃除しにくくて、クレームになったりすることがあってさ。』とかそんな話をしてくるわけよ。」
え?え?え?
「だからさ、『じゃぁ、今度詳しい担当連れてきますよ』って。で、お前連れてったワケ。」
まさに地ならし。そこまで興味を引き出してもらっていたなんて。自分のセールストークが上手かった、と思っていたのが恥ずかしい。

課長の言いたかったことも分かった気がする。発泡スチロールにも良いところはある。まずそれを前提として、それでも困っていることがあるか?をお客様の口から言ってもらう(これが難しいのだが。さらっとやっている先輩はさすがだ)。そのうえで紙に置き換えると解決できそうなことを伝えて、どちらが良いか判断してもらう、ということなんだろう。いきなりけなすんじゃなくて。
っていうか、課長、そう教えてくれればいいのに。

それからしばらくは、試行錯誤したものの、3ヶ月も経つとかなりの打率で注文が取れるようになった。

その年、紙製緩衝材の売り上げが増えたことで、所属する課が社長賞をもらうことができた。

社長賞を祝う飲み会でとなりに座った課長から
「ごくろうさん。」と声を掛けられた。
課長のご指導のお陰です。ありがとうございます。
「なんの話だ?俺なんもしてねーぞ。」と課長。
お客様がいま使っているものをいきなりけなすな、という話です。そこから今の発泡スチロールも紙もどっちもそれぞれいいところあるよね、という話法ができたんです。
「あーそれね。そこまで教えたっけ?でもまぁ、よかった。」
満足そうにホッピーを飲む課長。いつになくうまそうに飲む。
「いきなりけなさない、で思い出したけど、ひとつお前に謝んないといけないことがあるなぁ。」
なんですか?
「ビールばっか飲んでっと腹出るぞ、ってホッピー飲めっていったことあったよな?ビールみたいなもんだって言って。」
ありました。ええ。
「いきなりけなしたよなぁ、ビールを。」
?

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