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『断然ホッピー』中村克也

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「ビールばっか飲んでっと、プリン体で腹出るぞ。」
課長が言う。
「ま、しょうがないか。お子ちゃまだからな。」
課長はホッピーを呑んでいる。
正直ホッピーは苦手だ。
以前、騙されたと思って、という常套句で勧められるまま初めて口にした。一口飲んでダメだった。ビールみたいなもんだ、という前振りが余計だったのかもしれない。全然違った。
ありがたいことにそれ以上飲むことを無理強いされることはなかったが、代わりに呑みに行くたびに課長からは「プリン体」「お子ちゃま」の2つの単語を使って揶揄される。
特定の飲料を好まないというだけでそこまで言われても、とは思うが、ひとまわり年の離れた課長と盛り上がる話題もないのでそれはそれで前向きに受け止めている。それに、カラッとした課長の言い方もあってさほど嫌な感じはしない。
そのうち同席している同僚もネタにするようになった。そうこうするうち、「お子ちゃま」があだ名として定着しつつある、のは誤算であった。
まぁ、数ヶ月前に転職してきた身としては、職場の皆さんに覚えてもらえる効果もあった、と前向きに受け止めよう、としている。

勤務している会社は梱包材の製造販売を生業としている。私はそこの営業担当だ。メインの商材は段ボールだが、最近会社では再生紙を原料とした緩衝材を開発、伸ばそうとしている。紙製の緩衝材は以前からあるが、電化製品などの精密機器では強度や衝撃吸収性から発泡スチロールやプラスチック製を使うのが普通だ。ただ、この会社では、今後は環境に優しいということを売りに紙製が伸びると考え、冷蔵庫などの大型家電にも使えるような紙製緩衝材の技術開発に目処をつけ、新商品として売り出す予定だ。
私は以前、電化製品を扱う問屋に勤務しており、梱包される電化製品に詳しい営業を増やす一環で職員を募集をしていたところに応募し採用された。

入社後3ヶ月程は本業の段ボールの営業に同行させてもらい、勉強の期間。
その間に数件だが緩衝材を他社の発砲スチロールから当社の紙製に置き換えてもらえた。

その後、満を持しての独り立ち。
これまで電化製品では紙製の緩衝材はほとんど実績がないので、勢い私の営業は新規開拓のようなものだ。もちろん、これまでも段ボールでの取引はあるので取っ掛かりがないわけではないが、緩衝材となると運ばれる機器に問題がないかの評価も行うことになり、これまでとは別の部署の別の担当にも会わなければならない。

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