「そのまんまの意味じゃない?」
「・・・。」
「この前、あの子にそれとなく聞いたのよ。三者面談どうするって。」
「そしたら?」
「今と一緒。どっちでもいいって。」
「・・・うん。」
「それとね、『お父さん最近変わったね』って。」
「・・・本当か?」
「聞いたわけじゃないのに、向こうから言ってきたのよ。あの子なりに思うところがあったんじゃない。」
全く予想していなかった答えにどう反応していいか迷った。
「あなた、顔が固まってるわよ。」
「ああ、そうか。」
妻はクスクス笑っている。こちらも思わず自分の迷いぶりに苦笑する。娘の一言はこんなにも攻撃力があるのか。
「じゃあ、明日俺が行こうかな。」
「いいんじゃない、それで。」
「うん。」
たかだか三者面談に今から緊張し始めてしまった。清潔にしなくてはいけない。爪も切らなくちゃいけない。何かあるといけないのでハンカチも持っていこう。もちろんマラソンときちんと歯磨き&マウスケアは欠かさない。
あれこれ考えていたら、「どうぞ。」と妻が言って、目の前にホッピーが出てきた。考え深くホッピーを眺める。これがなかったら禁酒は上手くいってなかったかもしれない。本当に感謝だ。
「・・・。」
ホッピーに向かって合掌する。
「何してんの。」
笑いながら妻が突っ込んでくる。
「感謝の儀。」
「バカみたい。」
「いいの。」
グラスにホッピーを注ぎ、一気に飲み干す。これからもホッピーとは長い付き合いになるだろう。
「よろしくお願いします。」
頭を下げる。それを見ながら妻はケラケラと笑っている。