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『君とセピア色』大知牧

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――子供の頃。親戚の叔父さんに連れてってもらった、普段は行かない駄菓子屋さんで壁の「おしながき」にその文字を見つけて、ミー君は叫んだ。
「あっ」
 私は振り返る。
「ホッピーってなあに」
 叔父さんがミー君の視線を辿って壁を見た。
「ああ、ホッピーな」
「楽しいヤツ? ボク、それ欲しい」
 な! とミー君はアタシの方をくるりと振り返って、真っ直ぐな瞳で同意を求めた。
 アタシは急にハナシを振られてドギマギする。
「ホッピーはなあ、オモチャじゃない、飲み物だ。子供は飲めないんだぞ」
 そう言うと叔父さんは軽々とミー君を抱き上げた。
「えー、なんで」
「お酒って言ってな、大人の飲み物だ」
「ずるいよ大人ばっかり」
「ははは、いつかミツルも飲めるさ」
「ヒナ」
 ミー君がまたこちらを向いてじっと見つめている。
 なあに、と私が返事をする前だった。
「いつか、一緒に飲もうね」
 私は心臓をぎゅっと掴まれたみたいに飛び跳ねてしまった。

 それは、大人になっても一緒に居ようねという、プロポーズに聞こえたから。

❇   ❇   ❇
 17歳になった私とミー君は、公園で缶チューハイを飲んでいた。
「ねえヒナ、水素と酸素を反応させれば水が作れるのに、なんで船乗りは水不足に悩むんだろう」
「知らない」
「ねえヒナ、アサガオの種には幻覚作用があるのに、どうして子供が育てるのが許されてるのかな」
「知らない」
 ミー君は偏屈で、ちょっとお馬鹿さんだった。
 というか、子供のまんま大人になってしまっていた。
「ねえヒナ」
「ねえミー君」
「なあに」
「ミー君はどうして大人にならないの」
「知らない」

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