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『ホッピー物語』星出知美

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「あら、ホッピー飲んだ事ないの?」
彼女は勝ち誇ったような目で僕を見ながら、ホッピーを注いでくれた。
それは2回目のデートだった。
1回目のデートは僕がアレンジして何度か女性を連れて行ったことのある表参道のおしゃれなイタリアンレストランだった。いままで付き合った女性は、2回目のデートも僕にお任せだった。旅行の時にも全部僕に荷物を持たせた。そういう男に育ててあげたとまで言われていた。でも彼女は違った。1回目のデートの時にも
「私の分ね。」
といって、お店を出て歩きながら、それなりの金額を渡してきた。
「それは要らないよ」
さすがに1回目のデートで割り勘するわけにはいかなかった。
「そう。」
あっさり彼女は引き下がった。払うふりだけしたのかもしれない。もてテクの小技にあるような、「奢ってもらったときにお財布を出す」というのに近いパフォーマンスだったのかもしれない。でも、悪い気はしない。
その後、お礼のメールがあった。そこには2回目のデートのお誘いもあった。東京の赤坂で「食べナイト、飲まナイト」というイベントがあるので、一緒に行かないかということだった。事前に回数券のようなものを購入して参加するらしい。地図に参加するお店が書いてあって、そこにいくと1回700円で、その店の軽い食べ物と飲み物が頂ける。30分くらい居たら、次の店に行く。そういうイベントらしい。会社で、そのチケットをもらったから一緒に行こうというものだった。面白そうだし、2回目はちゃんとご馳走してくれるなんて結構律儀な女性なんだななんて思いながら、メールにOKの返事をした。
当日は実際に赤坂の町に出てみると、ちょっとした文化祭のような雰囲気だ。スーツ姿の大人がたくさん歩いている。皆で地図を見ながら、どこに行くか相談している。ワイワイと楽しそうだ。彼女に誘われて、こんなイベントに参加したのはいいが、1軒目にしてホッピーと遭遇してしまったのだ。
「なにホッピーって?」
と僕が言うと、彼女はクスリと笑って、
「じゃあ注文してみましょう。」
といって、僕は初めてホッピーを飲むことになった。
でもホッピー初体験は他にもいた。隣の席の若い男性2人も
「おれ、ホッピー初めてだ。」
と、騒いでいた。なんか初々しくていい。この年になるとそれほど新しいことに遭遇しない。だからなんかとっても楽しい。
「美味しいとか不味いとかの感想は言わないでね。ホッピーってこういうものだから。」
感想を言う前に、釘をさされてしまった僕は、素直にホッピーを味わい、体験した。
2軒目は焼き鳥だった。
「ここはビールかな。」

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