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『Time to HOP!』石澤明

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 勤続15年、 アラフォー、なれどいまだ平社員。
 同期の中には早いものはもう課長になっている者もいる。
 追い越していく後輩もいる。
 1年間の育児休暇と1年間の時短勤務、そして保育園の間はほぼ残業無しのフルタイム勤務を続けたのならば仕方がない、と言わざる負えない当然の処遇なのだろう。
 とはいえ、残業をしないで済むように効率的に仕事を回して一人前の成果は上げていたはずという秘かな自負はあるし、前任の課長はそれを評価してくれた。
 私が工夫したやり方を水平展開して「働き方改革はボトムアップからが成功の秘訣だね。」と言ってくれた課長には本当に感謝している。
 娘が小学校に上がったこの春からはアクセルを踏み込んで恩返しをしたい、と意気込んでいたのに残念なことに異動になってしまった。
 それ以来なんだかいろいろちぐはぐだ。
 新しい上司とそりが合わない、とはサラリーマンであればよくある話だから、文句は言うまい。

 何より今は4月に新たに配属された若手社員の育成を任された。
 それは大変に重要でやりがいのある仕事だ

 
 平田君は理系の大学院卒なのに珍しく営業に配属された変わり種。
 学部名を聞いたらなんとなく理解ができた。うちの会社の本流のケミカル系ではなくいわゆる「新しい学問」的なもの。だから研究所や開発系に行かなかったのだろう。先々はマーケティングがやりたいとも言っていた。
 新しい学問を修めた平田君自身はとてつもなく頭が良い。
 文字通り1を聞いて10を理解してくれるし、私が苦手とするエクセルはエキスパートレベル。
 そして、データを根拠としたプレゼンはスリリングなくらいな攻撃的スタイルだ。
 でも残念なことにクレバーではない。
 いわゆる「天然」で、営業の仕事では言ってはならない事をぽろっと言ってしまったりするのでヒヤヒヤさせられる。
  そして、厄介なほどプライドが高い。
  指導したり注意したり、そういった場面では細心の注意が必要なタイプだ。就職氷河期でなんとか潜り込んだ私たちと違って売り手市場だったこの世代は皆その傾向はあるけれども平田君は意識が高いのと同じくらい、プライドも高い。

 ワーキングマザーの最大の利点は、多少のことでカリカリしなくなったこと。
 思うに任せない幼い子供を相手にしていると、感情的になったが最後すべてが破綻するということをいやというほど学んできた。泣く子と地頭には勝てない、とは昔の人はよく言ったものだ。
 急がば回れ、だったり、一呼吸おいて、という方策が一番有効。

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