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『画期的な発明』拓斗


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「イライラや焦りがある時に使うと……」と説明を始めると、最初は怪訝そうな顔だった店員は、笑顔になって「ああこちらですかね」と案内してくれた。
「こちら、何種類もの上質なアロマが配合されていまして、気分がスッキリするものです。最近違う香りのものが出まして一番売れていますね」
「……」
 教えられた商品を見て私は固まった。それは確かに形状は同じだったがパッケージが違う。アロマにはリラックス効果があるのは聞いたことがあるけれども、あの衝撃的な発明の文言はない。
「あの、なんかこう、もっと変わった臭いを消すスプレーが出たとかって聞いたんですけど……」
「変わった臭い? ですか?」
 ふと、無臭だから臭いでもないんだよな……と言葉に詰まった私はその場を離れてネットで検索してみたがヒットしなかった。

 私は今朝以上にきつねにつままれた気分で家に帰った。
「お帰り~どうだった?」
 のんびりした母の声が聞こえてきた。
「それがうまくいったの。思ったよりすらすらできて」
「よかったわね」
 母は嬉しそうな顔をしながらも、いつものように夕飯の支度をしていた。
 手先が器用でいくつになっても好奇心旺盛な母は、お店さながらのディスプレイで食事を楽しむ。お金をかけずに手作りすることが楽しいらしく、あっという間に出来上がる。今夜はどうやらおしゃれなホームパーティーを目指しているらしいなと、テーブルを見ながら何気なく私は聞いた。
「ねえ、あれ、どこで買ったの?」
「なに?」
「朝の消臭スプレー」
「ああ、知り合いの製薬会社の人から。限定品をもらったのよ~」
「……ふーん……アロマの効果でリラックスってことなのかな?」
「ええ? いや、それだけじゃなくて、なんだったかな、細胞かな。英語みたいな難しい感じのから抽出?したとか、そんなのからできてるような話だったかな」
 母は私の大好きな唐揚げをきれいに盛り付け、デコレーションケーキのような手の込んだちらし寿司を忙しそうに運びながら言った。

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