そんな思いなどとは無縁に。
仏間から、夜空に浮かぶ。
美しく輝く月、それが、見える。
それに、見とれる。
仏間。
ロッキングチェアに座り。
うさぎ、を撫ぜている。
心を読むように。
俺を、見つめていた。
気付くと。
気持ちよさそうに、眠っている。
孫が、入って来る。
仏壇のお菓子を。
一つ。
口に頬張りながら。
たち去る。
うさぎ・・。
数十年前の思い出のシーン。
幼いころの娘、抱っこしている。
30代の己の姿。
真っ白な雪が。
舞い降りてきた。
大喜びの王子たち。
月の、だぞ。
月にいたの?
王子さま?
ああ、いたよ。
ひゅー、ひゅー。
吹雪らしき音を、まねる。
月一面に真っ白な雪。
雪合戦に、なった。
投げた雪玉が一つ。
飛び出して。