応募要項 応募規定 脱衣所からもうひとりの男の声がした。扉のすりガラスには、いつの間にか帰宅した半裸の夫がおぼろげに映っている。 「ちょっといま入ってこないでよ、狭いっつーの!」 私は浴槽から飛び出すと、開きかけたドアに向かって冷水のシャワーを浴びせてやった。我が家の男どもはとことんダブルチームで私に挑む気らしい。夫の悲鳴に蒔名の笑い声が重なる。 私もいつの間にか笑っていた。かかってきなさいよ、不均衡だってなんだって、まとめてとことん付き合ってあげるから。浴室の床を力強く踏みしめた私は、左手で扉を勢いよく開けた。 9/9 前のページ 7月期優秀作品一覧 HOME