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『永遠記念日』藤崎伊織


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 テーブルの上に唐突に、天の使いの猫が現れた。実体は無く、透き通ってうっすら光っている。天の使いは私に向かい「お話できてよかったね」そう言いながら微笑んだように見えた。本当に、もうこれで最後なのか。たまらなく寂しくなり、夫を見つめる。そんな私の気持ちを見透かしたように、
「安心して。二人はまた“あっち”で再会できるから」
 猫は私たちにそう言った。本当だろうか。しかし、説得力のある言葉だった。
「じゃあ、行くよ。」と猫は言った。
「それじゃ、またな」夫は笑顔でそう言った。まるで学生時代、交際が始まる前の帰り道のように。
「うん。またね。」

 妻が消えてしまったあの日、俺はぽつんと一人きりになった実家の椅子で、寂しさと悲しさに身をよじって咽び泣いた。一晩泣き続けた。しかし、妻が死んだあの日のような絶望感は無かった。最後にまた大好きな妻と、笑顔で話す事ができて、あの猫には心から感謝している。娘が買ってきた猫は、実家から帰ったら、もう普通の猫になっていた。

 不思議な出来事だったが、夢ではない。いつかまた妻に会う日を、心待ちにしていたいと思う。次に会った時には、娘の事や、あの日からどんなに色々な出来事があったか、沢山の話題で、妻を死ぬほど笑わせてやりたいと思う。再会した時、きっと俺はこう言うだろう。
「やっと会えた。もう、二度と離れなくて済む。今日は、二人一緒の永遠の日々が始まる永遠記念日にしよう」

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