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『言う』室市雅則


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 これから先やっていけるか心配になる。
 お母さんとタッくんはきっと大丈夫。
 僕が邪魔者になってしまうんじゃないだろうか。
 二人に迷惑をかけてしまうんじゃないだろうか。
 不安だ。
 将来を心配していると緊張してきて、トイレに行きたくなってきた。
 しかもかなり緊急的かつ本格的に。
 家に着くまであと三十分はかかるだろう。
 我慢できる自信はない。
 小学生にもなってやってしまうわけにはいかない。
 それに父になる決心を伝えてくれた直後にやってしまっては末代までの恥だ。
 考えれば考えるほど、ますますマズいことになってきた。
 顔を小刻みに揺らしてしまうし、手も落ち着きなく動かしてしまう。
 こんな時に限って、お母さんもタッくんも前を向いている。
 マズイ。本当にマズい。
 目を細めて別のことを考えようとしても無理だ。
 ぼんやりとした視界の中にコンビニが見えた。
 「お父さん!」
 タッくんが驚いて体を強張らせた。
 「はい!」
 「トイレに行きたいです!すぐに!」
 「はい!」
 車はコンビニに滑り込んだ。
 駐車を待たずに車が停まると僕は降りて、コンビニのトイレに駆け込んだ。

 無事に九死に一生を得た。
 トイレから出るとお母さんが待っていた。
 「大丈夫?」
 お母さんが声をかけてきた。
 「うん、ごめん」
 「いきなり言われてびっくりした?お父さんになって良いかなんて。まさか私もあのタイミングで言うなんて思わなかったよ」
 「うん」
 お母さんが僕の頭を撫でた。
 「どう思う?」
 僕は迷わず答えた。

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