10月期優秀作品発表
ARUHIアワード2022 10月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品32作品です。
『パパの再婚』
山本
(②私の「家族」)
パパが再婚したのは2年ほど前。コロナ禍で式を挙げられなかったパパのために、今夜はパパの友人たちが集まりサプライズパーティを計画している。でも中にはパパの再婚を素直に祝福できない人や、呼ばれてもないのにやってくる人がいて……
『ワシに威厳をください』
ウダ・タマキ
(②私の「家族」)
五十歳を迎えた俺。子どもの頃に描いていた五十歳のイメージは威厳のある大人だったが、随分とかけ離れている。まず、一人称を「わし」に変えれば自然と言動に威厳が伴ってくるに違いない。なんてことを考えていると、娘の彼氏が我が家にやって来るという事実を知る。威厳を示すことができるだろうか。
『はじまりの日』
川瀬えいみ
(①新しい生活)
故郷との永別の前に、幼い頃に一度だけ遊んだ美しい隠れ里の実在を確かめたい。そう考えて故郷の山中に足を踏み入れた私は、記憶に残る美しい里に辿り着くことはできなかった。諦めきれず、町役場を訪ねた私は、そこで、四十数年前に一緒に隠れ里で遊んだ幼馴染みと再会する――。
『美代子叔母さんのエール』
秋生真寿
(②私の「家族」)
幼い頃の私は、美代子叔母さんのオリジナル童話を聞くのが大好きだった。叔母さんは、八十歳になったいまでも、人を楽しませることを何より大切にしている。五十代半ばになり今後の生き方に悩んでいる私は、会社帰りのサラリーマンで賑わう焼鳥屋のカウンター席で、彼女から人生のヒントをもらう。
『家族ボタン』
雪宮冬馬
(②私の「家族」)
恵は母親に妹か弟がほしいとねだる。その結果、恵は家族を生み出せる「家族ボタン」を渡される。出した家族はその日のうちに消さなければならない。恵はそのボタンで妹を生み出し、ひとときのお姉さん気分を味わえた。その晩、あることがきっかけで、恵は自分が家族ボタンで出されたのだと気づく。
『じいちゃんの畑』
山崎ゆのひ
(②私の「家族」)
今日からじいちゃんが来る! 小学3年生の陸は、朝から興奮していた。じいちゃんというのは、陸の父方の祖父、宇一だ。祖母が亡くなったあと、山で一人農業をしていた。宇一はもうすぐ80歳になるとはいえ、まだあと10年くらいは元気に畑を耕しているはずだった。
『おしゃれな家』
万野恭一
(①新しい生活)
僕は妻が一目ぼれした中古の一軒家を買った。妻はその家を自分でリフォームして、自分の理想の家を作りたかったのだ。引っ越してきて一ヶ月。作業、作業の毎日に、僕は少し疲れを感じはじめていた。そんな時、ベランダから隣家の庭が見えて……
『シン居候生活』
太原同土
(①新しい生活)
白川摩耶に叔母から電話があり、父が女と暮らしていると言う。母を亡き後、父とは疎遠であったが、実家に行く。すると女子大生が出迎える。摩耶は父との関係を疑うが、実は居候であることを知る。父は妻を亡くし寂しかったと本音を語る。この時、摩耶は新事業を思いつき、実行に踏み切るのだった。
『結婚の許し』
吉岡幸一
(②私の「家族」)
台風が来る日、春花は結婚の許しを得るために、恋人の誠の母、雪絵に会いにきました。これまで雪絵に会うことを拒まれてきた春花でしたが、はじめて家にあがることができました。誠は前妻を事故で亡くしており、春花とは再婚になりました。荒れていく台風の中で、雪絵は色よい返事はしませんでした。