10月期優秀作品発表
ARUHIアワード2022 10月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品32作品です。
『雪消』
東雲日々希
(①新しい生活)
愛する夫の死後、一人きりの新しい生活を送るはずだった私の前に現れたのは、見ず知らずの青年だった。「昔世話になったことがある」と言いながら、私の世話を焼いてくれる彼は、一体誰なのだろうか。
『あの日、思い描いた未来は』
春野萌
(①新しい生活)
演劇を辞めた奈月とシェアハウスを始めた僕は、彼女が過去から立ち上がり前へ進んでいく姿に不安を抱くようになる。奈月を繋ぎとめるために密かに新しい家を探し始めるけれど、肝心な言葉を伝える勇気が持てない。そんなある日、僕はようやく決意を固め彼女の部屋へ足を踏み入れる。
『私の祖母はスーパーばあちゃん』
ささきしょうこ
(②私の「家族」)
九十を超える私の祖母は、不思議な呪文で周りに魔法をかけていくスーパーばあちゃん。そんな祖母が繰り広げる日常を、祖母から魔法をかけられた私がご紹介します。祖母の魔法であなたもきっとふふふと頬が緩むことでしょう。
『オレンジの実家』
中村里新
(②私の「家族」)
大学二年生の僕は一人暮らしをしているが、たまに孤独感を感じたり、人間関係のことでストレスがたまったりしていた。そんなとき、母から電話があり、およそ一年半ぶりに実家に帰ることになった。両親が老いてしまった姿にショックを受けるも、二人の温かさに触れて生きる活力を取り戻す話。
『川の字』
室市雅則
(①新しい生活)
35歳の無職の男。たまに日雇いバイトをするだけで、実家の自室でほぼ引きこもりの状態。しかし、実家のリフォームのため、1週間、ワンルームのアパートへ両親と三人で暮らすことになった。
『息子の結婚』
佐藤勉
(②私の「家族」)
私のひとり息子、洋介が結婚することになった。婚約者は息子よりも14歳年上の52歳で、結婚経験のない女性だという。息子の結婚を待ち望んでいた私は歓迎したが、妻の芳子はいい顔をしない。実は妻には、孫の顔を見たいという強い願望があったのだ。
『ハミングの悲しさを伝えたかった』
ゼロの紙
(②私の「家族」)
翔ちゃんの父が昔好きだった美容師のジョウさんは、かつて父と母とジョウさんと家族のように暮らしていた。ある日バイト帰りの電車の中で翔は、思いがけなくジョウさんと再会する。その再開はなにかもういちど家族が始まるようなそんな香りを放っていた。
『秘密の家族とハイボール』
麻北鉄
(②私の「家族」)
社会人三年目の「僕」は、家族仲が悪いことがコンプレックスで、周囲には家族仲が良好だと嘘をついている。一方で同期の石川は、容姿端麗で家族仲も良い。上司同席の飲み会で家族の話になり、「僕」は石川に感情的に反論してしまう。取り繕う「僕」に、部長は自身のハイボールのこだわりを語りだす。
『アジ』
明日香
(②私の「家族」)
今年で中学2年生になった美和に弟が誕生した。沢山甘やかしてやりたい美和は弟を包んでいる1枚の毛布にある疑念を抱く。その毛布は「アジ」と家族に呼ばれ10年以上も使われ続けてきた。なぜ「アジ」は名前を付けられるほど愛され、手放されないのか。実はそこには家族ならではのある秘密があった。