10月期優秀作品発表
ARUHIアワード2022 10月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品32作品です。
『共鳴家族』
秦大地
(②私の「家族」)
ちょっと嫌なことがあって帰ってきた日に、「ただいま」と言うと三倍の「おかえり」が帰ってくる。それぞれのトーンで美咲の思いが共鳴する。嫌なことをぜんぶ洗い流したくて一番にお風呂に入って、お風呂から大声で家族に話しかけると、やっぱりちゃんと全部届いている。私の思いが響いている。
『Birthday』
四四田鹿辰
(②私の「家族」)
春生、夏生、秋生の三兄弟は、従兄弟の孝弘と共に、家出した妹「ゆき」の恋人、吉村の部屋にいた。吉村から連絡を受け、ゆきが妊娠、そして臨月であることを知った彼らは、頼りない吉村の様子に心配と怒りをぶつける。そこへ病院から出産の連絡が入る。兄弟たちは怒りも忘れ吉村を病院へと送り出す。
『退屈なコピペの日常』
木戸流樹
(①新しい生活)
社会人になって同じことの繰り返しの毎日にならないように努力していた主人公のカズヤ。しかし、結局は同じことを微修正しただけの毎日を送っていることに気づく。そんな中ある日突然、鏡に映る自分が消える。そして偶然会った幼馴染のユキコと鏡の中の自分を探しに色んな思い出が詰まった高校へ。
『ラブストーリーはいつも突然なのさ』
橋詰やす子
(②私の「家族」)
美和は、同級生の皐月のお願いで彼氏だという霧島譲の浮気調査をすることになる。カフェで霧島を見張る美和だったが、雨宿りをしている時に霧島に隠し撮り写真を見られてしまう。謝る美和だったが、実は霧島と皐月は恋人ではなかった。そしてその出会いが、美和と霧島が結婚するきっかけになった。
『わた』
大西千夏
(①新しい生活)
翌日に入社式を控えた美久は、なかなか眠ることができない。なんとか眠りたい美久だったが、その眠れない原因にようやく気づいた。新しい枕である。高さを調節しようと、深夜(と思しき時間)に部屋の明かりをつけ、枕のわたを抜いていると、様々な思いが噴出してきて、やがてある幼馴染を思い出す。
『ぼくたちのスタート』
杉菜原直
(①新しい生活)
札幌に住む大学生の最初の勤務地は、広島。就職のため、突然、遠い所に引っ越すことになった。カノジョと二人で、いくつかの想定外の事態を乗り越え、期限までに部屋を退去することに成功する。しかし、これで、二人は遠く離れ離れになってしまう。旅立ちの時、二人は何を思い、何を語るのか。
『出るよ』
ヤマモトタカシ
(①新しい生活)
新しい街、新しい人々、新しい家族の時間、新しい責任感。新居での新生活に、本来なら心躍らせているはず、だった。ところが購入したマンションはとんでもない訳あり物件だった。次々と発覚する新事実に翻弄される主人公を中心に、それでも寄り添って生きていく家族の姿を描く。
『椅子のあるベランダ』
保科史歩
(①新しい生活)
朝子は長らく続けた晴彦との同棲生活を解消し、小さな町の小さなアパートに引っ越すことを決めた。入居当日の朝、弟から電話が来る。子供の頃から変わらない関係性、少しずつ輪郭が露わになっていく気持ち、そして晴彦と過ごした日々の記憶。全てに折り合いをつけて朝子は新しい生活へと前を向く。
『ハシワタシ』
間詰ちひろ
(②私の「家族」)
大学生の咲は、祖母からアルバイトを頼まれる。それは祖母の入院中、見知らぬ老婆と夕食を とって欲しいというものだった。詳しい事情は教えてもらえないまま、咲は老婆の家を尋ねていく。