『空の天元』
★冲方さんからのコメント
まさかの幽霊もの。切り口が明快で原作のシーンの使い方も上手い。従順だった彼女の「わがまま」――と思いきや、春海が心配で成仏できない彼女の優しさが光ります。
★冲方さんからのコメント
算額絵馬を痛絵馬に置き換えた時点でもう「痛快」。修学旅行という状況設定、理解のある友人との会話、急いで抜け出す緊張と高揚など、全てのくだりがオチで効いています。
★冲方さんからのコメント
神社の神様もの。よく考えついたものです。えんの性格を上手に描きつつ、オリジナルのキャラを挿入するやり方がとても達者。この神様は何者か、と思わず先が知りたくなる。
★冲方さんからのコメント
こんな場所にも算術好きが。村瀬の女好きという側面にえらいこと切り込んでます。何してんですか村瀬さん。算術が得意な遊女・蛍が素敵。口調もリアルでやたら魅力的。
★冲方さんからのコメント
建部と伊藤の秘められた恋……ちょっと待て、マジか。無言の平助が喋るのが新鮮、別の意味で喋れなくなるのも新鮮。すごい行間の埋め方をするものだと感心しきりです。
★冲方さんからのコメント
関の内面に切り込んでいて素敵。算術好きならあり得たであろう、かつて星を追った記憶。点を打つ行為が、春海の最初の設問への答えへとつながるところがお見事。
★冲方さんからのコメント
時代ものならではの史実を踏まえたサイドストーリー。江戸時代の将棋指しである伊藤宗看と春海の邂逅って、これは良い着眼点ですよ。鬼気迫る勝負がここにもあった!
★冲方さんからのコメント
海を渡り来た囲碁棋士・黄龍士の物語。史実を踏まえつつ奔放な想像力がすばらしい。ドラマチックなプロローグという感じ。気づいたら別の文芸賞に応募されてそう。
★冲方さんからのコメント
私小説的な物語展開。カフェ+姓名判断+渋川春海という予想外の組み合わせで、おっ? と引きつけられます。春海がジーンズはいてるよ。春海の名に絡めた展開が素敵。
★冲方さんからのコメント
春海とことの物語。はかない物語を優しくつむいでいて良いですねえ。ことの生前の様子を丁寧にくみ取った一編。二人の子どもという、あっておかしくない物語が切ない。
★冲方さんからのコメント
時代ものかと思いきやの現代ものとは。冒頭の展開で意表を突かれました。タイムスリップもののちぐはぐな会話が楽しい。というか、春海か、とさらに驚きました。上手い。
『住処は失くせど道は続き』
★冲方さんからのコメント
剣鬼・村瀬の仇討ちって、字面でインパクトがあります。もうすごい展開。おいおいマジか。しかも真っ向勝負の剣士もの。やばいカッコイイ。村瀬さん変幻自在です。
『君さりし後』
★冲方さんからのコメント
道策サイドのストーリー。おお、原作のテイストを上手に取り込んでいます。成長と老い、道策と春海の年の差がそれとなく伝わり、全編に優しさが満ちている一編。
『星と手』
★冲方さんからのコメント
関の側の視点がとても孤独で切ない。原作のセリフ回しを上手に使って、春海と同じ道を辿りつつ、微妙に交錯する様子が上手い。若者たちの在りし日の姿が素敵。
『梅小路にて』
★冲方さんからのコメント
何かが起こりそうな予感のプロローグ。少年シロが聞くのは、神様の声かはたまた……。謎の声と少年のやり取りの引きが大変上手いです。先が気になりますよ、これ。
★冲方さんからのコメント
まさかのSF大作の予感。もとの作品のキーワードから発想し、どんどん別のものに変えていって完全にオリジナルにしております。しかしすごい引きのプロローグだ。
『節分大祭』
★冲方さんからのコメント
土御門泰福の側の視点。春海とえんの死後、思いと事業を受け継ぐ人の物語がとても良いですね。病題を通して春海や関がいた記憶が受け継がれるさまが優しくて素敵。