最近、よく見るサイトがある。
誰でも物語を投稿し、また、読むことができる<BOOK SHORTS> というサイトだ。
しかも、募集作品の中から大賞をとれば、映像化されるという夢のような話がついてくる。
日々の生活のちょっとした合間、本を開くようにサイトを開き、目についた物語の世界へ入っていくのが最近のお気に入りだ。
朝食を済ませ娘を幼稚園に送り出し、ざっと片付けを終わらせると、ソファーで少しだけ<BOOK SHORTS>を検索する。
どこかで見たことのある鮮やかな黄色が目に飛び込んできた。
「Hoopy Hoopy AWARD 」と書いてある。
初めてのホッピー、忘れられないホッピー…。
スマホの画面を親指でスクロールしながら募集テーマを読む。
「あなたとホッピーにまつわるショートストーリーを募集します。」
面白そうだなと思いつつ、私はホッピーを知らない。
もちろん存在は知っているが、飲んだことが無いという意味だ。
普段からお酒を飲まない私は、やや遠慮ぎみに好奇心だけで「テーマの詳細はこちら」と書いてある場所をクリックしてみる。
画面が変わり、取締役社長 石渡美奈さんのインタビューが掲載されていた。
ホッピービバレッジは、今の社長のお祖父様が10歳の時に開業した餅菓子屋が祖となっているらしい。
ちょっと待って…、10歳って…。小学生じゃん。ただ者ではない感じがヒシヒシと伝わる。私は自分の幼少期を思い返し不安になった。
10歳の頃、私は一体何をしていただろうか…。道端の棒切れで、ガードレールをリズミカルに叩いていたくらいしか思い出せない。
さらに読み進めると、15歳で会社を立ち上げ、ラムネ製造販売を開始したと書いてある。
15歳なんて、思春期真っ只中ではないか。親への反抗、意味の分からない衝動、様々な葛藤。時代は違えど、15歳の私は間違いなくラムネを製造販売できる側の人間ではなく、有り難く恩恵を受け、消費する側であったことに間違いない。
今でこそ、十代で会社を築く神童達に度肝を抜かされているが、何十年と歴史が続き、今に至る<ホッピー>という飲み物に改めて驚きだった。