和也はソファーに座り、ビールを飲みながらにこやかに応えてくれた。
「まぁね、凄く緊張した。」
「ご苦労様でした。」
「でもさぁ、本当は理子先生の言ってる事も凄く分かるし、無くなっても別に構わないかなって思った時もあった。」
「じゃあなんで反対したの?」
「反対って言うか意見かな。違う角度からも考えてみないとダメかなって思って。」
「そう・・・。」
和也はそう言って宙を見つめる。
「和也はどう思う?もし私の立場だったら?どっちでもいいは無しね。」
「ええ?!ちょっと分かんないな。」
「いいから、考えてみて。」
「んん~。」
真剣な顔で考え込む。
「・・・俺も美和と同じ意見かな。やっぱり中身も大切だよね。もし性格悪くて生意気で性根が腐ってたらすぐ離婚してたかもしれないしね。」
「おお~、なるほどね。新解釈。」
今度機会があったらこれも幼稚園の先生方に言ってみようと思う。
「あとね・・・。」
和也が少し照れたような顔でこちらを見る。
「何?」
「えっとね、その話の続きって訳じゃないけど・・・俺は美和の顔も好きだけど中身も大好きだよ。」
「え?ちょっといきなり何言ってんの?もう酔ってるの?」
いきなりの言葉に戸惑う。
「王子様になれるか分かんないけど、頑張ります。」
そう言ってポケットからケースを取り出す。
「幸せにします。結婚してください。」
ケースが開くとそこには指輪が入っている。
「・・・。」
「あら、今じゃなかったかな?」
和也ははにかむ。
「・・・ううん、そんな事ない。」
驚きと嬉しさで言葉がうまく出てこない。和也はそんな私を優しく抱き締めた。
「今回の事が終わったら言おうと思っててさ。仕事を適当にやらずにちゃんと考える真面目な美和が凄く好きです。」
「・・・お酒飲んでる。」
「ちょっと待ってよ。こういうのは恥ずかしいんだからさ、魔法だと思ってよ。」
「バカじゃない・・・。」
「あの、お返事頂けませんか?魔法が解けちゃう前に。」
「・・・メチャクチャ。かかるのは私でしょ。」
和也の抱き締める力が強くなる。
「・・・はい・・・宜しくお願いします。」
こちらも強く抱き締める。
やっぱり中身も大切です。