「君は名を上げたかったのだよね? 大丈夫、君は桃太郎君と同じように、いつの世の人々にもその名を知られる存在として残るはずだよ。――ただ……この薬は存在をボンヤリさせたい我々の念が籠っていてね、君の名を知っていても、その行いはボンヤリとしか認識していない人間が増えてしまうかも知れないが、それは大目に見てほしい」
「……」
「だが、その方が良いかも知れないよ。時代が進めば進むほど、全ては目まぐるしいスピードで変わり続け、少しでも古くなったものはすぐに忘れられていく。我々のようにボンヤリしている存在は、いつまでも残り続ける強さがあるのだからね――」