小説

『ブルーベルベット』義若ユウスケ&かいかなみ(『スーホの白い馬』)

「ヒヒーン!」
 ぼくたちはマルポカ・ビルにのりこんだ。
 ビルの中はフラミンゴの絵や置物でいっぱいだった。どっちをむいてもフラミンゴ。
「出てきなさい、バッド・フラミンゴ・ファミリー! 奪った材料を返しなさい! わたしたちはダランベリー・ブルーベルベット・トワイトニックソース・パンケーキが食べたいの!」と花子がいった。
 ヒヒーン! と花子にあわせてポンポコサンダーもいなないた。
「なんだい、そのダランなんとかってのは?」とドスのきいた声でいいながらスキンヘッドの男がとなりの部屋からやってきた。手には細長いフラミンゴをもっている。本物だろうか。
 ヒヒーン! といってポンポコサンダーがいきなり男にとびかかっていった。
「ポンポコサンダー!」
 花子の叫びと同時に男がフラミンゴでポンポコサンダーをバシンと打った。クリーンヒットだ。ポンポコサンダーはぐんぐんとんでって壁にぶつかった。男のもっているフラミンゴが「ブァーッ!」とおたけびをあげた。本物だ!
「あいつ、フラミンゴで攻撃してくるぜ!」とぼくはいった。「それも本物のフラミンゴで!」
「そうね!」と花子。
「どうする?」
「あなたにまかせるわ!」
「よしわかった!」
 おりゃあ、とぼくはスキンヘッドの男にとびかかった。そして男をやっつけた。
「よしやっつけた!」とぼくはいった。
「じゃあ次の部屋に行くわよ!」と花子がいった。
 ぼくたちは気絶したポンポコサンダーをかついで次の部屋にむかった。
 次の部屋は大広間になっていて、中央にエレベーターがあった。人影はなかった。
 ぼくたちはエレベーターに乗って最上階のボタンを押した。悪の親玉ってのはたいてい、最上階にいるからだ。
 上昇にはずいぶん時間がかかった。のぼってる感じもあまりしなかった。あれ、閉じこめられちゃったかな、もしかしてこれワナだったのかな、とぼくたちは不安になった。しかし、そんな心配は必要なかった。エレベーターはちゃんと最上階にたどりつき、ドアをひらいた。
 最上階には悪者がざっと千人くらいいた。
「うわっ、こんなにもいるなんて。はたしてぼくたちは勝てるんだろうか」とぼくはいった。
 どんっ、と花子が一歩前へでた。
「大丈夫よ。大丈夫ったら大丈夫」
 ブラボー。さすがはぼくのガールフレンドだ。きもが座っている。

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