ニヤニヤと見てくる薫。人の不幸が面白いのだろう、嫌味な友達である。しかしこのまま一人で悶々としているのも嫌なので、薫に今までの経緯を話した。
「・・・それ、私に話していいの?」
「本当はダメ。でもこのままだと私が爆発する。」
「大げさ。」
「マジで。薫、誰かに言ったら殺すからね。」
「分かってるよ。だけどそれしんどいね。」
薫が同情の顔を見せる。
「でしょ。マジで勝ち目はないわ。」
「それ、美和ちゃんには言ったの?」
「言ってない。」
話していると、なぜあんな美人の子と同じ人を好きになったのかと改めて自分を呪ってしまう。
「美人は得だよね。」
ついつい嫌味が出てきてしまう。
「ひがまない、ひがまない。」
「シンデレラみたい。」
「は?何それ?」
薫が半笑いで聞いてくる。
「だってそうじゃん。結局は綺麗な子がハッピーエンドになるんだ。」
「ん?シンデレラはそんな話じゃなくない?」
「そうじゃん。美人なシンデレラが意地悪でブスな姉さん達にいじめる。だけどお城の舞踏会に行ったらシンデレラが王子様に見初められるって話でしょ。」
「・・・。」
「さしずめ私は意地悪でブスのお姉さんだね。最後は美人が全部かっさらっていくんだ。」
薫は眉間にしわを寄せる。
「ちがうよ。美人が全部かっさらって行く話じゃないよ。」
「は?じゃあなんなの。」
「あれは、どんな境遇でもまじめに生活していれば神様がちゃんと見ていてくれるって話でしょ。それに意地悪なお姉さんはブスじゃないと思うけど。」
意外な答えが返ってきた。そんな風に考えたことなど一度もなかった。
「でも、結果シンデレラが選ばれたじゃん。」