ツイート 星尾は呼ばれたのかもしれないと、もういちど溜め息をもらす。 そういうことなら、と星尾はじっと耳を傾けた。彼らがなくしてゆく言葉の語尾だけを頭の中で拾い続けた。切れたトカゲの尻尾を拾い上げるように。 そしてふいに浮かんでくる映像があった。あの日みたなくした尻尾を持ったト カゲがふたたび庭にやってくる。西日のなかでしゃがんだまま紅葉が声をかけていた。 「いつか尻尾生えてくるといいね。ムロちゃん」 4/4 前のページ 8月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4