「まあね」
さあ、殺し合い。
僕は必死に戦った。あんまりにも必死だったもんだから、何がどうなったのかよく覚えていない。気がつくと侍も染谷も夏目さんもみんな床に横たわっていた。
僕はしばらく立ち尽くしていたが、疲れたので早退することにした。なんだか気分も悪かった。
帰る途中、僕は透明なガラスの道を歩いた。見たこともない一本道だったけど、僕は家に帰るために歩き続けた。
そして喋る白熊に道を聞かれたところで意識が遠くなり、僕は目をさました。
午前六時。僕は自分の部屋のベッドの上にいた。ほっとして胸をなでおろし、シャワーを浴びてから朝食によもぎ大福を二十個食べた。
八時前に家を出て学校へ行くと、いつもと変わらぬクラスがあった。僕は夏目さんに夢の話をしてみた。すると、彼女も同じ夢をみたという。
「……そういえば、夢の中で僕は僕じゃなくて誰か違う人だったよ」
「あら、染谷君、私もよ。私も誰か違う人として侍と戦ったわ」
おかしなことがあるもんだ。
「わあ!」
目をさますと、兄者が拙者の顔をのぞきこんでいた。
「おい、大丈夫か。うなされておったぞ」
「うむ、おかしな夢を見たでござる……」
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