小説

『お伽創始』繁光(『お伽草紙』太宰治『こぶとりじいさん』『浦島太郎』『カチカチ山』『舌切り雀』『桃太郎』)

 あるとき、
 人の言葉を話すスズメが、やってくる。
 おじいさんはスズメをかわいがるが、
 おばあさんはそんなスズメを気味悪がり
 ある日、その舌を斬ってしまう。
 それからすぐ、スズメは姿を消した。
 おじいさんは、それに心を痛めスズメを探し回った。
 シタキリ スズメ
 オヤドハ ドコダ
 シタキリ スズメ
 オヤドハ ドコダ
 おじいさんは、スズメたちが住むスズメのお宿を見つけ、
 そこで、楽しいひとときを過ごした後
 おじいさんは、スズメたちからお土産としてつづらをもらう。
 つづらの中には、金銀財宝が詰まっていた。
 それを知ったおばあさんは、
 自分もスズメたちが住むスズメのお宿を探しに行ったが
 帰ってくることはなかった。

 話が終わったそのとき
 シェルターの扉が開いた。
 だが、父が開けたわけではない。
 扉の外から鬼がこじ開けていた。

 物陰に隠れていた私と祖父と祖母以外の家族は全員鬼に連れていかれた。

 
後書き
 1999年7月、鬼と呼ばれる生物が地上に出現した。
 いや、人類が確認していなかっただけでもっと昔からいたのかもしれない。

 鬼たちは初め人類と友好的にしていたが、それはある計画のためだった。
 その人類の先を行く科学力で
 あるものには医療行為として身体を改善すると偽り
 あるものには幻想的な体験をさせて骨抜きにするなどの様々な方法で
 人類を油断させると、
 人類をイヌやサルやキジなどの動物と一体化した獣人に変えていった。

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