かぐや姫の言葉に今度は浦島太郎が反応します。
「かぐや姫殿まで。よいか、これは浦島太郎の逆襲という御伽噺ですぞ。鬼ヶ島でいじめられている亀を儂が助け、助けた亀に連れられて竜宮城に行き、あのにっくき乙姫に玉手箱を開けさせ婆ぁにしてやるという」
三人が睨みあっていると、恐るおそるといった態で石太郎が話し始めます。
「実はおら、嘘ついてたことがあるだよ」
「後にしろ石太郎!今は手前ぇの話なぞ聞いている場合じゃねえ」
と桃太郎。
「後にして頂戴モブ太郎。今はこの二人に身の程を弁えさせないといけないの」
とはかぐや姫。
「後にしてくれぬか村人①さん。この若輩者共に長幼の序を説かねばならぬのでな」
これは浦島太郎。
「何が長幼の序だ。手前ぇは年月を重ねて爺ぃになった訳じゃねえだろが。玉手箱を開けたら、あっと言う間に爺ぃになっただけで、大した人生経験もねえだろが。それを勘違いしやがって。何だその喋り方は。安っぽいテレビの時代劇の様な喋り方をしやがって」
「そうよ。あんたに主役なんて荷が重いわよ。あんたがした事といえば、はした金で亀を買った事ぐらいなんですからね」
桃太郎とかぐや姫が浦島太郎を罵ります。
「黙らぬか!たわけ共が!貴様らこそ主役の器どころか物の怪の類であろうが。桃から産まれたり、竹から出てきおって」
浦島太郎も言い返します。当然黙っている桃太郎にかぐや姫ではありません。
「何だと!?物の怪だと。手前ぇこそ、鶴に変身して亀と結婚していた化け物じゃねえか」
「物の怪ですって?美女の記号でもある私に向かって!いいこと、あんたなんか駄目男の象徴なのよ。竜宮城で浮かれ、親の死に目にもあえず、乙姫にもまんまと騙されて年寄りにされて。間抜けったらありゃしないわ。まだ、鬼から金銀財宝を奪う乱暴者の方がいくらかましね」
「何だと!小娘が!」
「手前ぇ、どさくさに紛れて俺の悪口まで言いやがったな!」
収拾がつかなくなりかけたところで石太郎が大声を張り上げます。
「喝ぁ――――つっ!!」
一同驚き黙り込むと、石太郎三人を見廻してから話し始めます。