そこで少女はとあるインカレサークルに入部することに決めたそうです。そこには喰いがいがありそうな屑男がたくさんいて、上からも下からも涎がだらだらと止まらなくなってしまったようです。しかも、そのサークルの男共は前のサークルの男共と同じようにその少女を犯そうとしているではありませんか。なんという偶然なのでしょうか。そういうゴミ共こそ、その少女の最高の得物なのです。
私は運がいい。とても幸運です。私はたくさんのマッチを使わせていただかせていただきました。さらには、目の前には先輩方がいらっしゃるではありませんか。森の中なので人の目もありません。先程確認しましたが、スマホの電波も届かないみたいです。知っていますか? 終わりがあれば始まりがあるのです。
そして、今、マッチを全て使いきってしまいました」
うぎゃきゃぁあああああああ、と女が狂気的な奇声をあげた。
途端、マッチの火が消える。眼前が暗くなり何も見えなくなる。
動けない。一歩も。俺はあまりの恐怖で何かに縛られたように身体が硬直して動けなくなっていた。他の二人も同じだと思う。
誰かが空き缶を蹴る音がした。乾いた金属音。
すぐ後に亮平の情けなく叫ぶ声がした。
俺は終わった、と思った。このままこの女に喰われて死ぬんだと。そう思った。
しかし、生きていた。眩しい。竜也のスマホのライトが俺を照らしていた。
「おい、大丈夫か?」竜也が言った。
「あれ……うん、大丈夫」俺の声がひどく震えているのが自分でも分かった。俺は小さな声で囁くように呼び掛ける。「亮平はいる?」
「うぅ……ぅぅ……ぁぃ」
亮平は俺の隣にいた。自分を守るように手で頭を押さえて震えている。良かった。生きている。亮平も竜也も、俺も全員生きている。傷一つだってない。
俺はほっと息をついてから、訊きたくなかったが、訊かなくてはならないことを恐る恐る竜也に訊いた。
「えっと、山本さんは?」
「山本さんはあそこ」