「おお、体脂肪30%。きてますね。体重105KG、巨漢っすね」
「巨漢って言うの2回目だよ」
「あっすいません」
「桃太郎さん、ジムに通ってどうしたいですか?鍛えたい筋肉の部位とかありますか?」
「うーん、まあ、絶頂期の体重は70KGだったし、とりあえず痩せたいよね」
「そうっすか、週何回通えます?」
「2回ぐらいかな?」
「えっ?週2回?それじゃ35KG痩せられないすっよ」
桃太郎のコンプレックスとプライドが刺激され、ムキになって答えた。
「そうか、じゃあ毎日来るよ。暇だし」
「やる気っすね!桃太郎さんの身体バランスなんですけど、上半身はまあまあ筋肉が発達していますね。右腕だけ、アスリート並みに筋肉がついていますね。凄いっす」
「まあ、この右腕で鬼ヶ島を制したわけだし」
平さんは桃太郎の発言をスルーして続けた。
「下半身、弱いっすね。」
「えっ?」
「体重の割に筋肉少なめで脂肪多めです。階段上がるのも大変じゃないっすか?」
「何だ、そういう意味か」
「はい?」
「何でもない。続けて」
「脂肪を減らすために筋肉量の増加は必須ですし、下半身筋量は桃太郎さんの体重を支えるのに不十分なので、当分は下半身強化っすね」
その後、桃太郎は平さんにとことんしごかれた。50KGの負荷をつけて、脚を鍛えるレッグプレスと太ももの後ろを鍛えるレッグカール50回を5セットやりぬいた。初めてのトレーニングだが、勇者なので本気を出せばハードなトレーニングもこなせてしまうのだ。
「うぉー!こうなったら本気で痩せてやるぜ、見てろよ!ジジイ!ババア!」
桃太郎はランニングマシンでダッシュしながら決意とともに吠えた。