小説

『変人老科学者の計画』十六夜博士(『旅人とプラタナス』)

 おジイさんは、蟻ロボットで生態系を取り戻すことを考えていたのだ。今の僕にはそれがよくわかる。役に立たないと言われたおジイさんの発明が戦争をなくし、世界を救うのだ。僕は確信していた。
 僕は、大きく深呼吸する。新たな緑の香りが僕を包んでいるのを感じた。
(役に立っているかどうか、すぐにわからないことも一杯あるんだよ)
 おジイさんの声が聞こえたような気がした。

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