小説

『冷蔵庫の中の女』洗い熊Q(『雪女』)

 初めは楽しく、浮かれたように遊んでいたんです。
 でも、この天候。
 私の友人たちは一人、また一人と理由を付けては帰って行くんです。
 気づけば私と今日顔を合わせたばかりの男性二人だけ。
 数時間は一緒にいたせいか警戒はしませんでした。
 でも外はどんどんと天候は悪くなる。
 そして少し、少しずつ不安になる。
 もう帰る、そう私が口に出すと。
 大丈夫、まだ大丈夫と、彼らは引き留める。
 不安になる状況を逆に私は楽しんでいたのかも知れません。
 雪が風が気づけばまだまだ荒れ狂う。
 もう駄目だ、もう流石に帰る。
 大丈夫、大丈夫。いざとなれば車で送ると。
 不安と焦りが顔に出ているのが自分でも分かる。
 もう駄目、絶対に帰ると。
 彼らは笑い返す、心配し過ぎだと。
 そんな繰り返すやりとり。見れば外は暗く陽も落ちきりました。
 もう外に出よう、無理にでも帰ろうと。覚悟を心に決めた時。
 男性の一人が私を押し倒して来たんです。
 力任せではない、小さい子供がふざけ合うように。本当にただの冗談に思えた。
 だから私は笑って拒絶した。やめてよ、冗談はよしてと。
 一人が押し倒すと、もう一人が私の脚や尻を触ってくる。
 私は嫌がる、やめてよくすぐったいと。
 笑顔を見せる男性二人。その顔はまだ陽気でした。
 そして一人が私の首筋に唇を付ける。
 思わず身を震わす程に気持ちが悪く、私は悲鳴のように叫びました。
 本当にやめて、嫌だから。
 私の悲鳴を聞かせた時、二人の笑顔が変わりました。陽気から、せせら笑いに。
 その顔を見た瞬間、めい一杯の力で抵抗しました。
 それを押さえ込むように、彼らの力が増します。骨が軋むほど、痣が残るほど。
 引っかくように彼らの手を払いのけ、脚をばたつかせ、悲鳴を挙げる私。
 それを見る彼らの目は、溺れかけた鼠を蔑みながら見る様でした。

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