「ごめんな」
低い呟きから逃れるように、ライカは兄の固い腹に突っ伏した。
「――ごめんなさい、にい、ごめんなさい」
洪水のような涙と鼻水と涎で毛布はあっという間にぐちゃぐちゃに湿り息が詰まりそうになる。そうなればいいとライカは思う。
兄の身体を、信頼を、誇りを傷つけた自分なんて、このまま消えてしまえばいい。
「――」
ひどい耳鳴りのせいでモモの声も聞き取れない。
けれど、ぽたぽたと温い雫が首を濡らすのをライカは確かに感じた。
「にい?」
モモは泣いていた。
震える手が、そっとライカの頭を撫でた。