ツイート ぼくは、思わずききかえした。おじさんは、ぽかんとした顔で、 「えぇ。小柄な女と、お客さんくらいの背格好の男。興味があるなら、内見します?」 と、いらいらと足踏みをする恋人と、ぼくとを見比べていた。 「よかった……」 「え?」 ぼくは、窓から顔をそむけて、首を振った。 「いいんです、お時間とらせちゃって、すみません。次のを見に行きましょうか」 それからぼくは、誰もいない窓に向かってこっそりと手を振り、小走りで恋人に追いつき、先を急いだ。 8/8 前のページ 3月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7 8