「「おう!」」
オオカミたちが少々震えながらも、相槌を打つ。
「兄貴の仇は取りたいが、物語の筋には逆らえないんだ。クソ!」
「いいか! 赤い頭巾の女の子と、弱弱しいばあさんは俺たちをやっつけるための罠だからな!」
再度念を押し、切り株から降りる弟オオカミ。次に切り株の上に呼ばれたのは少し年老いたオオカミだった。
「すまんのぉ。みんなに一つ言いたいことがあっての」
「こいつには孫がいたんだ。すごい力を持ったいい奴だったな」
「うむ。わしの孫は肺活量に優れておっての、その肺から吐く強い息で風を起こし、いろいろな獲物を置いた私のために持ってきてくれたんだ」
「群れの幹部になるにふさわしい逸材だった。なのに」
「なのに、わしの孫が山の向こうにいる豚を三匹捕ってきてやるといった後、帰ってきたときには下半身に大火傷を負って帰ってきたんじゃ」
そのオオカミはどうやらいろんなオオカミに一目置かれていたのか、悔しがる様子をするオオカミが多いのが見てとれる。
「どうやらその豚にやられたらしい・・・くそ! なんで俺たちオオカミが豚なんかに!」
「山の向こうの豚三匹は危険なんじゃ。我らにとって豚はこの上ないご馳走じゃが、行ってはならんぞ?」
「火傷を負ったお孫さんは今も俺たちが手当てを続けているが、肺もやられてお得意の強い風を吐けなくなっていたんだ。いいかみんな! 山の向こうの豚は絶対近づくんじゃねえぞ!」
「わしの話は以上じゃ。十分気を付けてほしいのじゃ」
「ありがとよ、大事な話を」
年老いたオオカミがゆっくりと切り株を降りる。ボスが辺りを見ると先程の二匹の話に皆恐怖を感じ、震えていた。
「話はまだ終わらないぞ。最後は俺がお前たちに話をする!」
だが、まだまだ続くオオカミたちの会合。最後に切り株の真ん中に立ったのはオオカミのボスだった。
「いいか? お前たちも気になってる俺の前を務めてたボスの話だ」
その話題を聞きがやがやとしだす会場。どうやら多くのオオカミが気になっている話題だったそうだ。