ツイート 先生は、固く握られた時子の手を取って、ご自分の真っ白なハンケチを握らせるとこうおっしゃった。 「中で、待っていますよ」 時子は、目蓋を閉じて、その言葉を反芻した。耳の奥へ、奥へと仕舞い込むように。 けして消えてしまわないように。 そして、遠ざかっていく青乃先生の後ろ姿に向かってそっと囁いた。 「先生」 大好きな、けして振り返ることのないその面影に。 「ごきげんよう」 これを限りに、光の時は終わるのだと。 7/7 前のページ 8月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7