こうして秋田は「かぐや姫」と名付け、自分の知人を招き3日3晩宴を開いた。
これによりかぐや姫の美貌は広く世間に知れ渡ることとなる。
ほどなくして、かぐや姫を是非妻にと、多くの申し出があった。
翁と嫗は、姫には気がないからと粘り強く断り続けた。
それでも5人の男があきらめずに求婚し続け、翁たちはほとほと困り果てていた。
「おじいさんおばあさん、私が直接お断りしましょう」
疲れ切っている翁たちを心配したかぐや姫がそう申し出た。
後日集まった5人の男を前に、かぐや姫が口を開いた。
「私は、私の願いをかなえて下さる方と結婚したいと思います。5人の中で私の欲しい物を持ってきてくださった方と結婚いたします」
こうしてかぐや姫は「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の裘」「龍の首の珠」「燕の産んだ子安貝」を持ってくるように頼んだ。
5人の男は競うように宝物を探したが、誰一人持ってくることは出来なかった。
翁たちは、しばし平安な生活を送っていた。しかしある日、帝の使いが現れ、帝が姫とお会いしたいと申していると告げた。
翁たちは愕然とした。
帝となれば今までと訳が違う。簡単なごまかしなどきかない。
かぐや姫は「私などが帝に仕えるとはとても思えません。どうしてもとおっしゃるのでしたら、私は責の重さに耐えきれず身を隠す事となるでしょう」と返事をした。
それでも帝はあきらめず何度も使いをよこした。
それは3年も続いたという。
これには、老いた翁たちはすっかりまいり、床に臥すことも多くなった。