小説

『ブラック企業版シンデレラ』西島知宏(『シンデレラ』)

女優、アイドル、タレント、モデル、年契の高い者から順にオーディションしましたが、ガラスの靴がぴったり合う女性はNot Foundでした。シンデレラの先輩たちの番になり、先輩たちはガラスの靴を履こうと無理をしましたが、コンバージョンできませんでした。

そこへシンデレラが歩み出て、フィッティングの許諾を得ようとしました。
先輩たちはレギュレーション違反を訴えましたが、ご子息の「すべての娘にフィッティングさせるように」とのオリエンを守り、宣伝部員たちはシンデレラにも試してみました。

するとガラスの靴とシンデレラの足は、まるで野球選手と女子アナのようにぴったりと合いました。
宣伝部員は「この方こそご子息の探しておられた女性だ」と叫び、シンデレラを「城」へ連れていきました。

ご子息とシンデレラは、数日後に海辺のクライアントの保養所で式を挙げ、参加者全員にガラスの靴が刺繍されたストラップが配られました。

その後、心優しいシンデレラは仁義を切ってきた先輩たちを許し、たいそうWin-Winに暮らしましたとさ。

おしまい。
 

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