小説

『人魚姫』山口みやこ(『人魚姫』)

エイミーが去っても、私は同じ職場で仕事を黙々と続けている。私はもう二度と以前の自分には戻れない。家族には私の本当の声は届かない。無関心な都会で、今日も私は足を踏ん張る。誰にも聞こえない声で必死に叫び、流されるまま使われたことがなかった足で必死に踏みとどまる。そうしていれば、夢見た永遠が手に入る気がして。
 

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