ツイート 「なぁ、今、あの子がこっち見たんじゃねぇか?」 「んなわけあるかよ」 「そうだよなぁ。しかし、綺麗なもんだなぁ」 カラスが感嘆の息を洩らすと 「どこがだよ。化粧ごてごてでさ、あれなら素顔の方がまだマシだぜ」 言葉と裏腹に、天邪鬼はまだ目を逸らさずに見つめている。 「お前さんは、本当素直じゃねぇよなぁ」 揶揄かって笑うカラスに、天邪鬼は「うるせぇや」とその頭をぽかんと叩いた。 強い風が吹く。天邪鬼は咄嗟に髪を手で押さえた。その前髪には、花の簪がしっかりとつけられていた。 9/9 前のページ 第4期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7 8 9