小説

『マッチの火が消えれば』西野まひろ(『マッチ売りの少女』)

「みなさん、一年前に起きた衝撃的な事件を覚えていらっしゃるでしょうか? はい、そうです。大学生の男性二人が公園にて何者かに噛み殺されたという事件です。そのお二方はとあるサークルに入ってらしたようなのですが、実は、私の仲の良い先輩はそのサークルがあった大学の生徒なんです。ええ、今はそのサークルはなくなってしまったみたいです。
 それで、その事件を戒めるためなのか、それとも誰かが面白がってつくった話しなのかは分かりませんが、事件に関するある噂話が大学内に流れたのです。先輩方はもしかして知っていますでしょうか? そうですか。よかったです。なら、そのお話をすることにしますね。
 そのサークルはいわゆるヤリサーと言われる下衆サークルでした。
 そこに一人の少女が入部してきたらしいのです。大学生に少女というのもおかしい気がしますが、噂では、透き通ったように清楚でかわいらしい美少女だったとされています。まあ、こういう噂話しに脚色はつきものですから続けますね。
 サークルに所属していた三人の男性部員たちはその子を犯すことに決めたそうです。「どうせこのサークルに入ってくるなら犯されるのも覚悟の上だろう」という考えだったそうです。そんなの卑劣な男共のエゴですよね。腸が煮えくり返るような怒りを感じます。実際、後から分かったことなのですが、少女はそこがヤリサーだということを知らず入部したみたいです。
 男性部員三人の作戦は、少女を人気が少ない公園へ誘い出し、強いお酒をのませ、そのままそこで青姦するといったものでした。純粋だった少女はその誘いに見事にのってしまいました。サークルの先輩の誘いを無碍に断れなかった、という気持ちもあったのだと思います。
 三人の作戦は見事に成功しました。委縮し嘆く少女の身体を三人でまわし、弄び、男性方はひどく気持ちのいい思いをされたそうです。
 その少女は処女でした。そんなこと、もしかしたら男性にとってはどうでもよいのかもしれません。顔がかわいくて、胸が大きくて、挿れる穴があって、さらにそれが締まっていれば初めてかどうかなんて……。しかし、その子にとってはとても大きなショックだったようです。
 一連の無惨な行為が終わった後、少女は無理やり犯されて鈍く痛む股間を抑えぐったりしていました。身体が小刻みに震えて止まらなかったようです。それを横目に醜い男性たちは「もう一回戦いこうか。次は撮影しよう」なんてことを話していたらしいです。それを聞いた少女は、ふと畏怖と憤怒が螺旋の渦を巻いて身体の底から沸き上がったそうです。あら、竜也先輩、苦笑いしてらっしゃいますが、私の表現が文学的だったでしょうか? しかし、その時の気持ちは正にそうだったと私は聞いています。
 そうだ、先輩方にお伺いしたのですが、女性を卑怯な方法で犯すとき、みなさんはどのように表現するのでしょうか? きっと、「ヤる」、「犯す」、「喰う」、なんて言いますよね。

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