小説

『怪物さん』大前粟生(メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』)

ツギクルバナー

――食後のひとときをいかがお過ごしでしょうか。わたしは楽屋においてあったいくつものやきそばパンを食べすぎてお腹がパンパンです。そのことをスタッフさんにいったら、え、あんたの楽屋にはやきそばパンなんて置いてないよ、トキちゃんはいつも通りコンビニ弁当だよ、ですって。そう、わたし、楽屋を間違えていたんです。焼きそばパンが置いてあったのは某お笑い芸人さんのお部屋でした。今ごろ彼、おれのやきそばパンはどこだー、なんて怒り狂っちゃったりしちゃって。おーこわ。みなさんこんにちは、北条院時子です。「人生は一期一会」のお時間です。今期の「人生は一期一会」はハロウィン特集です。そこで今回は、今なおハロウィンで大人気の、怪物さんをゲストにお迎えいたしました。怪物さん、こんにちは。
 こんにちは。
――今日も顔色が優れないようで。
 よくいわれます。
――普段はなにを食べてらっしゃるんですか。
 普段はなにも食べていません。食べなくても大丈夫なんです。
――とかいって、本当は食べてるんでしょ。
 いやあ、まぁ。
――なにがお好きなんですか。だれにもいいませんから。
 そうですね。やきそばパンですかね。
――空気読ませちゃったみたいになりました。
 いやあ、本当に好きなんですよ。
――どういうところがお好きで。
 あ、この話続けるんですか。
――ええ。
 なんていうか、食べてるとどうしてもこぼれるくらいやきそばがパンに挟まれているところとかですかね。
――へえ。
 ええ。

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コメント
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    「人生は一期一会」の司会者北条院時子のテンポの良いせりふ回しが小気味よいです。怪物さんは焼きそばパンが好きなのに、人間を殺しまくる。おーこわ。ラスト「え、偽者かいっ」と一気に現実に戻されてしまいますが、許せてしまう北条院時子のキャラに脱帽です。(9月期優秀賞受賞者:サクラギコウ)

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    設定とテンポが良かったです。ラジオ番組の枠の外にもっとストーリーが広がったら面白いと思いました。(9月期優秀賞受賞者:柿沼雅美)