『ピーターパンの夢』
松宮ミハル
(『ピーターパン』)
ピーターは今日もネバーランドで少年とともに暮らしている。ウェンディとの思い出に浸りながら。そして、今でも大人になったウェンディと一緒に暮らすことを夢見ている。そのためはこの方法しかない。
『かっぱちゃん』
うざとなおこ
(『河童伝説』)
かっぱちゃんと一緒に過ごした一夏の思い出。泳いだり、ザリガニとったり、山びこ合戦。一緒に大きな声で笑った。お父さんも、おじいちゃんも昔かっぱちゃんと遊んだらしい。そして、夏休みの最後の日がきた。
『瑠璃色の記憶』
本多ミル
(北原白秋『あめふり』)
雨宮敬子は、認知症が出てきた母親の介護のために実家に居る。そして、小さいころの大好きだった母と映画に行ったときの夢をよく見る。瑠璃色あじさいのじゃのめ傘、くるくると回して歩いた雨の歩道……歌った歌、その記憶と占い師の言葉。敬子の気持ちは複雑に揺れていた。
『カモノハシの卵』
空家和木
(『浦島太郎』)
もうすぐ小学生の翔くんは、伯父さんと遊園地へ秘密の冒険に。不思議なアトラクションやキャラクターがいっぱいのそこはまるで夢の国。時間を忘れて楽しんだ後、翔くんは約束する。「いくつになっても笑顔を忘れない。」
『雲の猫』
猫野湾介
(『蜘蛛の糸』)
モノを捨ててシンプルになり、本当の自分になろうと「釈かの子の喜捨セミナー」に参加したカンダタダコ。さまざまなものを手放し、勝ち残っていく。最後の二人になったとき、教室が天に浮かぶ一枚の板に変わる。脱落者がいる下界に滑り落ちず、釈かの子がいる天上にたどり着こうするタダコだったが。
『スキル』
わろし
(『史記 孟嘗君列伝』)
紀元前四世紀末、春秋戦国時代の中国は、乱世に割拠する斉の国。一芸あれば誰でも雇う評判の親分・孟嘗君のもとに、男がひとりやってきた。まったく役にたたないスキルを披露するその男は、意外な素顔をもつ孟嘗君の窮地を“役に立たないスキル”で救うことになる。
『魔法使いとネズミの御者』
Dice
(ぺロー版『シンデレラ』)
シンデレラを舞踏会へ送り届けた元ネズミの御者は、魔法使いにこのまま人間にしてほしいと頼む。魔法使いはネズミを面接し、人間でいるにふさわしいかどうか確かめようとする。自分の考えが甘かったと悟ったネズミはいったんは願いを取り下げ、翌日の二回目の舞踏会までに結論を出すことにする。
『童子と傘』
花乃静月
(『小人と靴屋』)
勘吉とお松の夫婦は傘屋を営んでいるが、売れ行きは悪く貧しく暮らしていた。ついに一本分の材料だけを残し迎えたある朝、美しい傘が出来上がっているのを目にする。その傘が売れたおかげで新しい材料を買えることになったのだが、傘を作る正体が気になる二人は、その晩作業場を覗きに行く。すると――
『ギブ・アウェイ、パンティ』
枯木枕
(『幸福な王子』)
しがない大学生の「俺」は「朝木ちゃん」の使用済みパンティと下着姿のエロ写真を変態どもに売って日々をぼんやりと過ごす。しかし「俺」は下着を剥いで売ることに嫌悪感のようなものを抱き始めて……。