『瓶に閉じ込めた話』
和織
(『瓶詰地獄』)
「これをあなたが拾ったことは、不運でも幸運でもありません」瓶詰の話の初めには、そう綴られていた。これを書いた人物は、自分のような人間に拾わせるために、わざわざあそこに瓶を埋めた訳か、と、まんまと思惑に嵌っている自分に、彼は思わず苦笑する。
『腹ノ池』
間詰ちひろ
(『頭山』)
魚釣りに人生を懸けている男は、とある病気に罹っていた。「腹の中に水が溜まっている」と医師から宣告されるが、その男は「その腹水の中に魚がいるんじゃないか」と釣りに行く決意をする。