子供用の空中飛行機に乗った竜太が、うおーい、と声を上げながら両手を私たちに向かってぶんぶん振っている。まわりの子供がひいて距離を置いて、ヤバい人を見るように集まってきた。
祥子はその様子を見て、あぁやっぱり竜太にしなくてよかった、と言った。それを聞いて私と恵美子も、そりゃそうだわ、とちょっと笑った。
「もういい大人だけど、これからきっと出会いがあって、世界はまた変わっていって、それでもあたらしい友達や家族や、変わらないみんなと繋がってて、ここなら来たいときに来れるね」
自分を納得させるようにしみじみ言う祥子に、そだねー、と恵美子がわざとおちゃらけた返事をする。私も、そだねー、と一回言ってみたかった言い方で返した。
ゴンドラがゆっくりと時間とともに、私をまだ知らないどこかへ連れて行こうとしている気がする。ゴンドラにつんと触れると、生まれた窓から、空がめぐって、蒲田の街が遠くまで続いていた。