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『薄くて苦い』竹原達裕

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「その上美人だし、仕事もできるし」
「ちょっと、どうしたの?なんかあった?」
「別にー」
 見られていないことをいいことに、口をとがらせながら言い返す。
「・・・はい、着替え完了。もういいよー」
「はーい」
 後ろを振り返ると、半袖のTシャツにハーフパンツ姿の梨花がそこに居た。私はなぜだか理由のわからないむずがゆさ感じた。
「・・・え、なんか恥ずかしいね」
 耐えきれず、声に出してしまった。
「どうだい友希さん。感想は?」
 両手を広げて梨花がおどける。
「何それ」
「ノリで言ってみた」
「んー・・・似合ってるよ、梨花」
 ちょっと格好をつけて言ってみた。
「似合わないセリフ」
 吹き出された。
「梨花が言わせたんじゃん!」
 こっちは結構恥ずかしかったんだぞ。
「友希は?着替えとかいい?」
 私の抗議の声は無情にも無視された。
「いいや、そんなに長居しないし」
「そ?じゃあ、ジャケットだけ掛けちゃうわ。貸して」
 私はスーツのジャケットを脱いで梨花に差し出した。
「なんか新婚生活みたいだね」
 さっきの辱めの仕返しをしてやろうと、私は梨花をからかった。
「旦那さんは帰って早々ベッドにダイブなんてしないでしょうが」
 厳しいツッコミが返ってきた。

 
 着替えが終わり、梨花はキッチンへ向かった。そう、そうだった、飲み直す為に私は梨花の家に遊びに来たのだった。すっかり趣旨を見失っていた。
 しばらくして、梨花はよく冷えたジョッキグラスを二つ持ってリビングに戻ってきた。中には透明なお酒が少量入っている。
「え、これだけ?」
 思わず口に出てしまった。
「まあ慌てなさんな」
 そんな私に、梨花は勿体つけてそう返した。なんだそのドヤ顔は。何かサプライズでもあるのか。と思っていると、梨花はまたキッチンから何かを持ってきた。
「じゃーん」
 手に握られているのは、二本のホッピーのグラスだった。
「え、ホッピーじゃん」
「どうよ」
「ってか、お店で売ってたんだそれ」
「当たり前でしょ」
 梨花は私の目の前のジョッキ、自分のジョッキと順にホッピーを注ぐ。
「ではでは」
 カンパーイ。シュワシュワと炭酸のはじける音、グラスの当たるキンッという音が心地よく響く。
「あー、でもなんかお店で飲むのと違う気がする!」

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