自分が落とされた会社に対して、何故こんなに嬉しそうに、誇らしそうに喜べるのかと、理解しがたいとも思ったが、意気揚々としている夏美を見るとやはり頑張れよと応援したい気持ちになる。
「お姉ちゃん、そんなに簡単にはいかないと思うよ」
珍しく、美玖が身を乗り出して言う。
「わかってるよ~だから美玖も一緒に考えてよ」
美玖に負けじと身を乗り出す夏美に「お父さんも考えるぞ」と兄貴が口を挟む。「なら、お母さんも」と。
家族の笑顔を見ながら口にしたホッピーが、また一層美味く感じた。
悔しい時も、嬉しい時もと言ったあの時の兄貴の言葉が頭の中に大きく浮かび上がった。