「俺は白がいいんだけど白あったら白で」
それ以来、ご主人の2杯目はホッピー白が定番になった。
こんなに数年通ってくれてるけど、ここでパターンが変わるとは。
ホッピーのチカラ。
ホッピーを置くようになってからホッピーの思い出話をよく聞くようになった。
中年のサラリーマンの方は、若い頃東京で飲んだという思い出話をよく聞く。とすると、20年から30年くらい前の話になるのだろうか。一緒に飲みにきた部下に「俺が東京にいた頃よく飲んだんだ」と話題のひとつになっている
よう。
「そうなんですか。ホッピーって飲んだことないんですけど、どんな味なんですか?」
ホッピー自体にはほぼアルコールが入っていないことを知ると、「へぇーそうなんですか」
とそこで初めて知ったのだろう人が結構いる。
そして味の説明は大抵、ビールみたいな味と言っている方が多いかな。
『ピーンポーン』
「はい、ただいまお伺いしまーす!」
3番テーブルのブザーが鳴った。あの小田村田さんテーブルだ。
「あきちゃん、中2つと外1つ。あ、いやぁー、外2つに中4つにしよっかな」
このお2人は、混み具合によって前もって注文してくれる。これもありがたい対応なのだ。
忙しいときは、1つでも行動を減らしたい。
ホッピーをお店に置くか置かないかは、実は小田村田さんに言われる前から少し話はあった。しかし、飲み方提供の仕方がよくわからず諦めているところもあった。うちで働いているアルバイトの人たちに訊いても、いまいちはっきりと、こうという答えが返ってこない。動画でみるとジョッキを冷凍庫くらいの温度でキンキンに冷えた状態で提供
しているようだったが、うちの店にはちょっと難しそうだ。ドリンクを作るスペースが狭く、更に冷凍庫など置く場所はない。
そこでホッピーをメニュー入れるにあたり小田村田さんに提供の仕方を伺った。
お二人は、動画で見たようなこだわりはなく、「ジョッキに氷と焼酎入れて、あとホッピーとかき混ぜるマドラーがあればいいんじゃないかなー」といった感じだった。
「それで、ホッピーのこの本体が外、焼酎が中って言うんだよね~」
そこで、外と中というユニークなオーダーの仕方を知った。
「ジョッキは凍らせなくてもいいんですか?」
「まあ、冷えてればいいんじゃない?」
そうか、ジョッキキンキンじゃなくてもいいんだ。じゃあ大丈夫かも。メニューに入れる自信がついた。メニューに載せてから、この外と中の質問をよくされる。その度に私の変なジェスチャー交じりで、「中は、グラスの中に入っている焼酎のおかわりのことで、外はホッピーの本体です」
「えっ?」
「グラスの中に注ぐ方だから外って言うんです」
という大袈裟なジェスチャーをしながら下手な解説をする。
「あ、おぉ」「なるほど~」「あ、そういうこと」などと納得してくれる。
これもお客様とのコミュニケーションになっている。