メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

『東京と父とホッピーと』中村なな子

  • 応募規定
  • 応募要項

 大学まで九州から出ずに生まれ育ったので、お酒といえばビールか焼酎だった。
 就職を機に上京して8年が経つが、入社して間もない頃、乾杯で同期の男子がカシスオレンジを頼んだ時には文化の違いにズッコケたものだ。

 お酒が飲めない九州男子だって沢山いるし、ビールが飲めない人や焼酎が苦手な人もいただろうに、まるでそれ以外の選択肢がなかった。
 そんなわけなので、乾杯でカシオレが頼める東京には、色んなところから来る人を受け入れる懐の広さがあると思った。

 東京の人は冷たいどころか、適度な距離感があるのに、意外と知らない人が助けてくれたりして、想像したより住みやすい!
 そんな風に思ったら、人混みでドンとぶつかられたりして東京の洗礼を受けていた。

 小洒落た店に連れて行ってもらい、ワインも飲むようになり、あーアタシもトウキョウのオンナになったネと思っていた上京3年目くらいで帰省したときに、唐突に母に訊かれた。
「あんたはホッピー飲んだりすると?」

 その頃実家では吉田類の酒場放浪記がブームになっていた。
 福岡に住む方向音痴の母親が、やたらと東京の居酒屋に詳しくなっていた。姉も東京にいたので、親にとっても東京が近いものになっていたのだろう。
 行けもしない居酒屋を母は脳内で巡っていたらしい。手にはもちろん、ホッピーだ。

 私はまだホッピーを飲んだことがなかった。メニューで見たことはあったが、何かよく分かっていなかった。
「ホッピー?あぁ、あれ何なん?」
「え?!あんた、東京におってホッピーも知らんと?!」
 母は鼻息荒く得意気にホッピーを説明した。
 偉そうに説明してきた母だが、テレビで見て知っているだけで飲んだことはないという。

 親が飲んだことのないホッピー。東京に戻ったら絶対に飲んでやろうと思った。

 ちょうどその頃私は会社の寮を出て引っ越しをしたばかりだったので、近所の居酒屋の新規開拓をしていた。幸いにも、新天地では赤提灯系のお店には困らなかった。

1/2
次のページ

第6期優秀作品一覧
HOME

■主催 ショートショート実行委員会
■協賛 ホッピービバレッジ株式会社
■企画・運営 株式会社パシフィックボイス
■問合先 メールアドレス info@bookshorts.jp
※お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。


1 2
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー