まだ意識はぼーっとしてるがもう寝ちゃう事はないだろう。
「全然!やっぱり先輩よわいなー今いろいろ女将さんと話しながら飲んでたので楽しかったから許す!」
瞳は満面の笑みでVサインを見せた。
「あはは、そうなんだ、それはよかった。あ、もうこんな時間か、終電とっくに過ぎちゃってる…家までタクシーで送るよ」
笹川は申し訳なさそうに言った。
「じゃあ、そうしようかなー女将さんいろいろ勉強になりました!ごちそうさまでした!!」
お会計を済ませ駅まで歩いた。
「あ、雪だ」
瞳が空を見上げながら言った。
「クリスマスに雪が降るなんて、なんかロマンチックですねー!」
「そうだね、きっといつも仕事頑張ってる瞳ちゃんのためにサンタさんがプレゼントしてくれたんじゃないのかな」
酒の勢いもあったのか照れくさい台詞だなと思いながら笹川は言った。
「いや!これはきっと先輩へのプレゼントですよ!」
そう言いながら自分が巻いているマフラーを笹川に巻き付けた。
「え、知ってたの?」
びっくりして笹川は言った。
「もちろん知ってますよ!今日が誕生日だって事も彼女がいなくてさみしーって思ってることも!」
ケタケタ笑いながら瞳は言った。
「そっか、あはは、ありがとう今日は付き合ってくれてすごく楽しかったよ。寂しい誕生日を迎えなくて良かった!」
そういいながら、笹川はびっくりしたこともあり涙が出て来たことに気がついた。決して嫌な涙ではなかったが、自分のことを見透かされたことに少し安心したのだろう、気が緩んだ。
「あー!先輩泣いてるでしょ!!」
瞳が涙をみつけ駆け寄ってくる。
「泣いてなんかないよ!雪のせいじゃないかな」
真顔で笹川は言ったつもりでも同様しているのはバレバレだった。
すると瞳は笹川の頭を3回撫でてこう言った。
「その痛み今から食べてあげる!」
その瞬間、妹だと思ってた心から恋心に変わった。