ブックショートでは毎月2つのテーマをもとに、これまでの優秀作品のなかから短編小説を特集していきます。
10月の②は「ハロウィン」にちなんで「変身」がテーマ!望んだり望まなかったりして、何かが変化する物語をご紹介します。10/31に向けて、読書で変身の準備してみませんか。
小さいままでいられればよかった。最近、思うのはそのことばかりだ。自分の体を持て余すたび、そういう気持ちになる。小さかった頃の方がずっと、体も心も機敏だった気がする。今の自分には幸せだという実感が無い。
「君、私の息子になる気はないかね?」突然の話に俺は目を丸くした。しかし目の前にいる旦那の目は真剣そのものだ。旦那の息子 治夫が、親の七光りを体現したような馬鹿息子であることは有名である。「今日からお前が治夫だ」
俺たちは半年間、「仏師作戦」と名付けた計画のため、ひたすらに準備のし続けやった。三十三間堂にも三十回以上は通い、忍び込むための予行練習も、何度も夜中行った。そして今日。時間が止まった世界、今度は動かしたんねん。
「そうだ、俺はかぐや姫であった。」ある日、中年男は自分こそがかぐや姫である、という設定で生きることにした。様々なシチュエーションに妄想を膨らませる男。自分は姫だから求婚相手は男?入手不可能な難題はどうする?
遅咲きの新人女性脚本家、坂本和佳はある日、鏡で自分の姿を見て仰天した。なんと自分の頭に富士山が生えていたのだ。幸い、健康面と日常生活には問題がないらしい。人々は、「今日の富士山はきれいだね」と拝んでいく。
特集②「運動」はこちら!