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『祝と恩』秋和夢境


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 ふと娘に電話かけようかと思ったが、嫌がれたりしないだろうかと思ってしまう。今どきの子はメールで済ませたほうがいいのだろうか。でも私は声で伝えたい。そして何より娘の声が聞きたい。
 私がスマホを取り出すと、電話がかかってきた。娘からだ。思わず笑ってしまう。着信ボタンを押し、電話に出る。何ヶ月ぶりかの娘の声だ。
「もしもし、お父さん。元気?」
「うん。元気だぞ。そっちこそ元気にしているのか。もう少し電話をよこしたっていいんじゃないのか」
 少し電話が少ないことに不満を述べる。いつだって心配なのだ。最近はSNSばっかりで電話をちっともしてくれない。娘はそんな私の不満を軽く流しまう。
「で、大学はどうなんだ。楽しいか」
 私がそう聞くと娘はいきいきと大学について話してくれた。思った以上に娘は大学を楽しんでいるようで安心する。
 そんな風にたわいもない話だったが、やはり家族とのこういう時間はかけがえのないものだなと感じた。
「それより誕生日おめでとう。もう19か。20歳になって一緒にお酒を飲むのがほんとうに楽しみだよ」
 娘は少し間をあけて返事を返してくれた。
「ありがとう。これは誕生日だけじゃなくて、受験とか仕送りとか。そういうの全部に感謝してる。本当にありがとう」
 ダメだ。そんなことを言われるとジーンときてしまう。これは父親だからなのか、それとも歳か…。
「いやぁ、嬉しいな。誕生日プレゼントも送ったけど、ちゃんと届いたか。気にいったか」
「そうだよ。さっき届いたから電話したんだった。うん、気に入った。ありがとう」
「そうか。よかった」
 そうしてまた、たわいもなく、かけがえのない時間が流れた。

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